5月4日、明治座の五月花形歌舞伎を観に行きました。この日はじめの演目は、市川右近さんが曾我五郎をつとめる「矢の根」。歌舞伎十八番らしい、大らかで豪快なお芝居です。
急遽チケットを取った結果、1階3列目の右端の方のお席だったのですが、これがちょうど上手の三味線奏者の真ん前。「矢の根」の場合、お客さんに見える状態で演奏をされます。いつもは耳だけで楽しんでいる三味線ですが、至近距離での迫力あふれる演奏に思わず目も釘付け。特に、三味線のソロで聴かせる部分もあり、緊張感あふれる速弾きに惹き付けられました。
「矢の根」が終わり、「男の花道」が終わって帰る道すがら、「矢の根」の三味線の興奮が冷めやらない私は、ソロ演奏を披露されていた方のお名前をインターネットで検索。SNSのプロフィールには、「お稽古やってます」の文字。
1週間ほど躊躇った後、ドキドキしながら連絡を差し上げました。そうして、初めてのレッスンの日が決まったのです。
明治座の舞台のあと、レッスンをしていただくことに。公民館の部屋を借りてレッスンをされることもあるとのことですが、お互いの時間・場所の都合から、新宿のカラオケボックスにて初回レッスン。
私はまだ何も持っていない状態なので、先生がお稽古用の三味線を持ってきてくださいました。組み立てながら、三味線の構造や扱い方、調弦の方法などをお聞きしました。組み上がった後、弾き方をご説明くださるのですが、サンプルとして弾いて下さるのが「勧進帳」だったり、下座音楽(歌舞伎のBGM)だったりするので、それを間近でお聞きできるだけで、私は大興奮です!
その日は、椅子に座って弾く場合の構えや撥の持ち方などをレクチャーしてもらって、とりあえず音を出してみる訓練。通常の奏法、スクイ、左手の指でのハジキ。もちろん、きれいにはできないのですが、一通りレクチャーを受けた後、「勧進帳」の中の簡単なフレーズを教えていただきました。
ゆっくりだし、他の弦もさわってしまうので、音も不安定なのですが、それでも、聞き覚えのあるフレーズが自分の手から奏でられたときの興奮といったら!!……その後、塾で授業だったのですが、終始テンションが高かったと思います。
大人の趣味のレッスンということで「興味のある曲を練習しましょう」と言っていただき、畏れ多くも、最初の題材は「勧進帳」に。簡単なところを中心に練習するようです。